あらすじ
慶応二年師走、土佐。雪の山道をかける二人。追っ手に阻まれ、散りゆく二人。
現代。
慶応二年のあの夜から、命を絶つことも、歳をとることも赦されない少女、三國はカフェバーでアルバイトをしていた。その傍らには、あの日、共に命を落とした浪人で許婚である六朗の姿。彼の姿や声は、三國にしか届かない。死を夢見る三國。
慶応二年、土佐。
三國は茶屋で奉公していた。それに比べ六朗は穀潰しの毎日。ある日、六朗は友である剣術道場の子息、泰造と刀の稽古を受けることにする。が、そこでも折は合わず、叱責される。
師範、泰造の父、松田は坂本龍馬の近況を藩主と共有する役目を担っていた。
現代、カフェバーひろすえ。
常連である高校生の二人、みどりと川谷。どうやら二人とも気のある様子。しかし、みどりは何故か、川谷を避けていた。そんな中、日頃の無理がたたったのか、店長が倒れてしまう。
慶応二年。
道場で働きもしない事を咎められた六朗は、腐っていた。また、友である泰造も、道場の跡継ぎを兄弟子である達に任せると、告げられ腐っていた。そんな中、六朗は、坂本龍馬の書を手に入れる。過去の物だが、坂本は戦を始めようとしていると誤解し、六朗はこれを止めると息巻いた。三國の手を取り長崎へ向かう。
道場に抱えていた忍、鴻野が裏切り、坂本の書が六朗に渡った事が知られた。鴻野は土佐から坂本を守る為、松田に毒を仕込み、殺害してしまう。その場に戻ってきた、泰造と達。父、師範を殺され、狼狽した心の隙を突かれ、鴻野に術をかけられる。『松田様を手に掛けたのは、六朗だ』その言葉に頷くと、雪の中へ駆けて行った。
現代。
誰かが命を落とした。死人である六朗にはわかった。常連である高校生のみどりが現れた。三國は閉店である事を告げる。が、わかってしまった。死人が見えてしまう三國。命を落としたのは、みどりだったのだ。川谷が来店。手には、一通の手紙。生前のみどりからだ。彼女は酷いいじめにあっていた。泣き崩れる川谷。三國は想う。人は死ぬ。いつか、必ず。私を除いて。
慶応2年師走、土佐。
雪の山道をかける2人。追っ手に阻まれ刀を振るう六朗。
六朗を庇い、前へ出てしまう三國。何が、そうさせたのか、斬られたのは身体でなく、三國の心。斬られゆく者達。この時代はいくつの命が転がったのか。時代で命の重さは変わるのか。
このシナリオは「154年目のクリスマス」(舞台脚本形式)を元にしております。