糸を切られた人形たちが自ら動きを始めたその時、世界は歪み、確実に終焉は近付いていた。

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※この作品は『マリオネットが見た夢は』をシナリオ化したものです。
 https://maho.jp/works/155910747714…

物語全体のあらすじ


 舞台は魔法が存在し、その技術が粋を極めんという時代のとある異世界。魔法の研究者たちが最終的に欲したのは、人々の求めてやまない見果てぬ夢、不老不死という禁忌の領域だった。至高の法を巡り、技術も職権も乱用され出す研究所、狂気に満ちる世界。研究者たちの派閥間競争が苛烈を極め、望んだ安寧とは裏腹に社会から次第に秩序が失われる中、虚無を味わった一人の青年・レグルスが【魔荒し】として生まれ変わる。彼は魔法を憎むがゆえ、魔法に関連するものならば、人でも物でも研究所でも、全てを破壊して回っていた。


 そんなレグルスがいつものように、研究所の一つを襲撃した時。そこには、既に死んだはずの娘・ミレアが、右目に疑似的な魂を押し込められ、たくさんの管に繋がれながら、無理矢理蘇生実験を施されていた。その境遇に自分と似たものを覚えたレグルスは、彼女を管から引きちぎり、以降行動を共にするようになった。彼が見つけた一人の少女は希望の光か、はたまた荒廃の象徴か。糸を切られた人形たちが自ら動きを始めたその時、世界は歪み、確実に終焉は近付いていた。


 旅を続ける中、ミレアは次第に人間らしさを取り戻していく。しかし、研究員との抗争中、彼女は高い崖から落下、下にあった川に流され、レグルスと離れ離れになってしまう。


 それから五年後。奇跡的に川下で旅芸人一座に助けられたミレアは彼らのもとに身を寄せ、自身も剣舞の芸を身につけながら、彼らとともに各地を転々とする生活を送っていた。一座に拾われる前の記憶を失っていた彼女は、【魔荒らし】が誰なのかを忘れていた。


 一方レグルスは五年前同様、あちこちの研究室を変わらず破壊して回り続けていた。ミレアのことは崖下まで降りて探しに行ったが見つけられず、死んだものと思っている。そのせいか、レグルスはますます破壊行動にのめり込むようになっていた。


 ミレアたち一座の巡業地とレグルスの目的地が重なった時、二人は再会し、ミレアは記憶を取り戻す。二人は再び行動を共にするが、時が経つにつれ、ミレアの身体に限界が近づく。五年前に聞いた【賢者の水】を思い出すレグルス。魔法を憎む彼にとって、魔法に頼ることは屈辱でしかなかったが、魔法によって生かされているミレアを助けるにはその方法しかない。


 二人は【賢者の水】があるという研究室へ向かうことを決める。荒廃を極めた世界には、崩壊の音が鳴り響いていた。






※この作品は『マリオネットが見た夢は』をシナリオ化したものです。

https://maho.jp/works/15591074771453033908