「ただいま~!」
「……」
「ねぇ、お母さんもいないの?」
(お母さんは専業主婦だから、
この時間は必ず家にいるはずなのに……)
「お父さん?」
真智は、とりあえずお父さんの書斎の戸を開けてみた。
お父さんもいなかった。
真智は仕方なく
自分の部屋に行く事にした。
「あれ?」
「あたし、疲れてるのかな?」
「あれあれ?
どうして!?」
真智は自分の部屋に……入れない。
入れないと言うより、無かったのだ。
部屋の戸を開けて部屋の中の様子はわかる……。
でも、入ると、そこは真智の部屋の外だったのだ。
「ねえ!? ちょっとこれ一体どういうこと!?」
真智は独り言をぶつぶつ言いながら、
孤独と不安を誤魔化しながら必死で家中を調べた。
「お母さん!
お父さん!
ねえ! お願い!
誰か!
何か答えてよ!」
真智はその場で泣き崩れてしまった。
"お夕飯の準備終わっているのに
真智は帰り遅いですね~"
"俺がちょっと言い過ぎたかもしれん"
"本当ですよ~!"
「お母さん!?
お父さん!?」
すぐ近くで二人の声が聞こえ、
真智は急いでその声の方へと向かった。
「お父さん~! お母さん~!
あたし、目の前にいるよ~!」
"とりあえず、先に食べようか?"
"駄目ですよ。
あなた真智に謝るんですよね?
あの娘を待ちましょう"
"あ、ああ……"
真智の声は二人に届いてはいなかった。
真智が辺りを見渡すと、
食卓があるはずの部屋には……、
空間が無かった。
「「ピィィィィィブゥゥゥ~!」」
突然、耳障りな強烈な機械音が真智の耳に飛び込んできた。
「痛い痛い!
頭が割れそう!」
真智は、その死を覚悟させるような強烈な音に、その場に倒れた。
そして、横寝の体勢で耳とまぶたを塞ぎ、
ひたすら耐え続けた。
「「シュ~ン!」」
何時間我慢してからだろう?
突然パソコンがクラッシュした時のような音が聞こえ、
真智は自分の頭の中と体が軽くなったのをはっきりと感じた。
そして、強烈な睡魔に襲われた……。