(ちょ、ちょっとこれ、どういうこと!?
あたしは戸惑った。
(あっ、またぼやけてきた!)
目は確かに何かを捉えていたが、
なかなか焦点が定まらなかった。
しかし、ほんの二、三分の時間経過の間に、
目と脳が少しずつではあったが環境に順応して
ピントを戻し始めた。
間違いない。
それは、布団を被って寝ている幼い頃のあたしだった。
そして、幼い頃のあたしの目の前に、
何かを話しかけている妹の顔がぼんやりとみえてきた。
(妹!?
何で?)
「お姉ちゃん、起きてよー!
雪積もってるよー! 雪だるま作ろうよー!」
???
「寒いしや〜だ〜、あたしはまだ眠いから冬眠中なのらー!!」
「ママー!!
お姉ちゃん約束したのに遊んでくんないんだよー!」
「こら、真智! いつまで布団被ってるの!!
もうお昼よ! 早く起きなさーい!」
「ヤダー!! 絶対嫌ー!」
(どうして……あたしがあそこにいるの?
昔事故で死んじゃった かおり もいるから、
きっとこれは走馬灯ってやつなのかな?
でも、わからないよ。
どうして!?
ねえ、どうして妹 かおり の姿だけ、
真っ黒に塗り潰されているの!?)