物語のあらすじ


売れっ子スタイリストとして数々の女性を有名女優や、国民的アイドルに押し上げた若石武人。彼は女性の髪に触れると、その女性の本音や記憶が分かる特殊能力を持っており、スタイリストとしての実力だけでなく、女性の扱い方にも長けていた。そんなある日、若石は風呂に入っていると溺れて気を失ってしまう。しばらくして、若石が目を覚ますと、そこは江戸時代の吉原であった。

置屋の下男「タケ」として、吉原で働きだす若石。そこで田舎から売られてきた少女「滝」と出会う。戻る場所は無い滝はイジメだったり、慣れない吉原での生活に戸惑ったりするが、花魁になる為に日々奮闘する。若石はそんな滝を見て、数々の女性をスターにした経験を活かし、吉原一の花魁にする為に滝をプロディースしていく。若石の技術的な後押しや、精神的なフォローを受けたり、同じ置屋の花魁「すみれ」の背中を見たりして、どんどん実力をつけて、徐々に売れっ子の遊女になっていく滝。しかし、滝が遊女として売れれば売れる程、下男の若石と距離が出来ていく。距離が出来るにつれ、滝は若石の存在の大切さに気付き、それは徐々に恋心に変わっていく。若石は自身の能力のせいで滝の気持ちに気付いているが、自身の立場と、滝を花魁にするという夢の為に、礼の気持ちには応えない。そんな中、ある日、滝の元に大商人が現れて、勝負に勝ったら花魁になるまで滝の太客になると言う。滝の夢の為に若石は自身の経験や技術を活かして、大商人との勝負に挑む。

勝負に勝ち、遂に花魁になった滝。滝は夢であった花魁になったが、若石の事が忘れられずにいた。花魁として華々しく活躍していた滝であったが、時な流れは平等で、滝も歳をとり、引退の時が迫っていた。引退を考え始めた頃、滝に身請けの話が舞い込む。それは、とある大名が自身の妾として滝を引き取りたいという話であった。田舎から売られてきた滝にとって、また、吉原の遊女にとって大名の妾になることは願ってもないことだが、滝は若石のことが忘れられず、返答を保留していた。しかし、遊女としてタイムリミットはすぐそこまで迫っている。大名の妾としての贅沢な生活か、下男の若石との貧乏生活か。滝が最後に出した決断は……。