この人がいてくれるなら、もう他には何も望まない。そんな真っすぐ過ぎる純粋な隣人愛に胸がぎゅっと締め付けられました。それと同時に、紅に沈んだ二人の最後の締め括りに心がときめいて。廃退的で独特なこの世界観に、ずっと浸っていたい気もして。痺れるように身を焦がしている自分がいます。

 可憐で儚い彼女と何処か人間味のある彼。紅に染まった世の終わりは、そんな二人の心の色と頬の色を現しているのかな、なんて想像して。崩壊の色彩が愛おしく思えてなりませんでした。

 神が僕らを見捨てた日。神に見捨てられたのだから、来世への願いさえも叶わないのか。それとも、信じる者は救われるのか。これは私たちに委ねられたラストな気がしました。私は彼らに夢を見せてもらいたいので、後者を希います。

 隣にずっと居てくれる誰かがいて、その人と温もりを分かち合って世を去るって本当にロマンティックだなあ、と何度も何度も感嘆の溜め息を漏らしてしまいます。

 素敵な作品をありがとうございました