娘のスカートが、少し小さいように思った。体に合っていないように。
赤いチェックのそのスカートが、娘はお気に入りだった。新しく買った服の中に自分が気にいるようなものがなかったのかもしれない。小さくなったそのスカートを静香はそれでも履いていた。
娘は、たくさん服を持っていない。
どんどん大きくなる子供の服を用意するのは大変だったのだと思う。
もっと綺麗な可愛い服を買えと、娘が言っているところを見たことがない。それが母親を傷つける言葉だと、小さくても分かっているからなのだと思う。
子供は大人が思っているより大人だし、それに親に気を使うものだ。
痛烈な悲しみが自分を貫いた。
香織と静香の普段の笑顔の向こう側にあるもの。僕に見せないようにしてるもの。背中から見なければ気づかない、隠された何かだったのだと思う。
悲しかった。
……本文より抜粋