地元の学校に通う15歳の少年エマニュエルは、作家の卵として街の期待の星だった。
そんなエマは学校までの道中にある家の窓から、いつも外を見ている少女に心奪われていた。ある日エマが学校からの帰り道で件の家を通りから見上げると、いつもそこに居た少女の姿がない。それがひどく気になって、一目見たくて、…

地元の学校に通う15歳の少年エマニュエルは、作家の卵として街の期待の星だった。

そんなエマは学校までの道中にある家の窓から、いつも外を見ている少女に心奪われていた。ある日エマが学校からの帰り道で件の家を通りから見上げると、いつもそこに居た少女の姿がない。それがひどく気になって、一目見たくて、顔を出しはしないかと見上げ続けていると、家の中から一人の老人が飛び出し、ぶつかる。勢いの余り、飛ばされるエマ。その際、新聞社へ売りに行こうと思って書いた詩を綴った紙の束が通りにぶち撒かれる。それを目にして、エマが物書きと知った老人はエマに仕事を依頼する。“人形の食事係” 窓から外を眺める少女は、文章を栄養とする生きた人形だった。書物を食べて知識を得る人形の成熟と成長の為に文章を書くエマとエマの作品を世に出そうとする街の大人達。

芸術家や文化人を育成する国の方針の元、行政の援助で学校へ通うエマは、今まで得意だというだけで書いていた“文学”という物が人形や同級生との関わりの中で自分にとって意味のある物へと変化していく。自分の存在、才能の使い方、愛されるという事、愛すという事。人形と過ごした数年間の物語。