理解の少ない生涯を送ってきました。
自分はまるで澄み切った純粋の上に、
ぽたんと垂らされた油のようでした。
仲間たちと同じ痛み喜びを分かち合えず、
悩みに共感できず、
みんなが幸福感と優越感を覚えるもの
――恋人を欲することや作ろうとする気持ちを
理解できない異質な油にできることは、
水の中に飛び込んで懸命に水に混ざろうと、
水の真似事をするだけでした。
でも、自分は不純な油ですから、
どれだけ掻き混ぜても水になることはできず、
ただただ周りと自分は違うのだという
異物感と窒息感が強くなっただけです。
そのため自分は今日も、スイッチを押して、
本当の自分(恥)を晒すことでなんとか息を継いでいます。
――カチャリ。
背後からドアを開けたような物音が聞こえたとき、
自分はヒヤリとしました。
だって今の自分は普通の仮面を脱ぎ捨てた言わば、
無防備な状態なのですから。
「~~~~~~~~」
何か聞こえたかと思うと、グラリとわたしの頭が傾き、
意識が遠のいていくのを感じました。
深く根付いていたのは「自分はなんて醜いのだろう」
という嫌悪感だけでした。