青白く光り輝くそれに手をかざすと、心が弾む。
どこの国の言葉かわからないけれど、でもまるで誰かが口ずさんで歌っているような声が聞こえるから。
天から降り注ぐ歌声は、あまりに澄み切って神々しく、いつまでも聴いていたくなる。
昔の人は、この不思議な力を《天を詠む》ことで使える、つまり《
私はこの歌声を聞き取って、言葉を一つ一つ何も変哲のない紙の上に書き写していく。
全て写し終えた時、それは原本と同じように静かに青白く光り出し、不思議な力が紙の上に漲って、全く同じ曲調で歌い出す。
それを聴くのがとても好き。
そして思う。
――これこそが、【魔法】だと。
【メディアワークス文庫様から、2022年2月25日に発売される、『天詠花譚 不滅の花を君に捧ぐ』の姉妹編となります。完全に独立したお話なので、花譚を読まなくても大丈夫です。是非お楽しみください!】