神社にひとり暮らす少年ざくろ。
村人はざくろの銀髪ゆえか、彼を遠巻きにしている。
そんな中、創(そう)だけはなぜか彼を放っておくことができない。
頻繁にざくろの元に遊びに行き、駄菓子の包み紙だらけの部屋の掃除を手伝っていた。
だがある嵐の日、創は村の秘密を知らされる。
貧しかったこの村は、かつて神社の柘榴の下に子供を埋め、生贄としていた。
ざくろはその柘榴の木の化身。
最近になってその因習も薄れていったが、そのせいか災害も多い。
ある嵐の日、創は実は自分が生贄になるため実父によって
この村に売られたのだと知らされる。
しかし、友と慕うざくろになら、喰われてもいいと覚悟を決める。
ろくでなしの実父の元に生れて、いいことはなにもなかった人生の中で、
ざくろと共に過ごした時間だけが楽しかった。その礼だと言って。
創に襲いかかるざくろ。
しかし、翌朝、嵐は去り、創は喰われてはいなかった。
代わりに、境内の柘榴の巨木が土砂崩れを食い止め、一夜のうちに枯れているのを見つける創。
おまえになら、喰われても良かったのに。