憑依体質に侵されている齢十七の岬は、たった一つの居場所であった母を失い、あの世へ逝くことを望んでいた。

「阿呆、勝手に逝くな」

しかし、突如現れた怪しげな男はそれを許さない。見目麗しいその男は、母と育てていた鈴蘭の化身・厘。“妖花“ という名のあやかしだった。
厘の使命は、憑依によって削られて…




岬の庇護に全霊を捧ぐ、すずらんの化身

———厘 Rin(見目麗しい男の姿)

「早く岬から出ろ。この阿婆擦れ」


×


かつて極楽浄土に逝きたかった少女

———岬 Misaki(憑依体質)

「ずっと、本当に、守ってくれていたんだね」




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「物足りないのなら、口移しで注いでみるか?」


「……え?」




———生きていたい。きっと、あなたとなら。



魚澄 住