病弱でこれといった取り柄も誇りもなく、日々の生活費を稼ぐことだけが人生となった真渕響。仕事帰りに駅前のベンチで時間を潰すのは、家に一人でいると「もしも」の時に誰も助けてくれないから──見て見ぬフリをしない、でも過剰に面倒を見るわけでもない。その場限りで終わる「他人」の関係を求めていた響はある日、…もっと見る