龍帝陛下の死神花嫁 〜封印師は最愛の君の復讐を希う〜

作者桜香えるる

人ならざるものを封じる「封印師」の一族・卯月の最後の生き残りとして生まれた少女、綾乃。彼女はたった一人の肉親である母の愛情は得られなかったが、代わりに紫苑という兄代わりの少年に懐き、彼から封印の技術を含む生きるためのあらゆる術を学んだ。初めは家族愛のようなものだったはずの彼に対する感情が恋愛感情に…

【ストーリー概要および物語の設定】

人ならざるものを封じる「封印師」の一族・卯月の最後の生き残りとして生まれた少女、綾乃。彼女はたった一人の肉親である母の愛情は得られなかったが、代わりに紫苑という兄代わりの少年に懐き、彼から封印の技術を含む生きるためのあらゆる術を学んだ。初めは家族愛のようなものだったはずの彼に対する感情が恋愛感情に変わったのは、ある種必然であっただろう。しかしそんなある日、村を悲劇が襲った。「暴れ龍」が村を襲撃し、綾乃以外の村人が死に絶えたのだ。母たちはともかく紫苑が死んだという事実はあまりにも衝撃的で、綾乃は深い絶望に沈む中で決意した。自分がいつか必ず、紫苑の仇を討とうと。それから約八年、流れ着いた刺客の里で凄腕の刺客として名を馳せるようになっていた綾乃のもとに「龍帝」暗殺の依頼が舞い込む。「龍帝」――それはこの国の最高権力者であるとともに、綾乃が村を滅ぼした暴れ龍の正体として目をつけていた存在でもあった。ああ、いよいよ念願の復讐を果たせるのだ。そう思って刃を振り上げた綾乃だったが――「まさか、紫苑?」目の前には、なぜか死んだはずの愛しい男・紫苑がいた。悲劇に引き裂かれた二人の、再会から始まる恋物語。