私は、助けてくれたあの人の名前も、何も知らない。

作者マクスウェルの仔猫


数年前の夏、学校帰りの駅。



絵里は駅で酔っ払いに文句を言われて、泣きそうになっていたその時。

足が竦み、ただ震えるだけの絵里を助けてくれたのは、通りすがりのスーツの男性だった。

探しても見つけられず、お礼さえ言えてない。

絵里は、顔さえも見ていなかったのだから。



恋かどうかもあ…