元英雄の令嬢は王子の言うことを聞きたくない

作者魚住真琴

リリー・ルシアンは元英雄の優れた冒険者であった。
けれどとある任務で仲間を守るために左足を失い欠損令嬢となってしまった。
残念ながら魔法に溢れたこの世には失った四肢を治せるほどの回復魔法はない。
故にリリーは冒険者としての人生を諦め、令嬢として誰かの嫁として人生を歩むことを強制されることになる。


「やぁ、俺の未来の花嫁」



とてもにこやかにキラキラと語る彼の口を縛るにはどうしたらいいのでしょう。


私の絵画展?

私コレクション?


嫌悪で顔を歪ませばその瞬間も絵画にしてしまう無駄に優れた能力を持つ王子。


「さぁ、こっちへおいで」

「絶対嫌だ」


私は


この王子の言うことを



聞きたくない!!