明治十五年。陽二郎は(ようじろう)は幽凪屋(ゆなぎや)の夕霧(ゆうぎり)という女郎に一目惚れをした。けれども幽凪屋にいるのはおよそ人に見えぬ女郎ばかりで化物楼と呼ばれている。陽二郎は楼主から夕霧について、妓楼から出ることができないとのみ注意を受けていた。陽二郎は夕霧と会うごとに思いが募り、唯…もっと見る
★主な登場人物
白河陽二郎(しらかわようじろう):帽子白河屋を営む。
夕霧(ゆうぎり):幽凪屋の女郎
幽凪晴夜(ゆうなはれよ):幽凪屋の楼主
青山龍一(あおやまたついち):投資家。白河屋に出資している。
山部宇吉(やまべうきち):山辺洋装店を営む。
玉藻(たまも):紫檀楼の花魁。
★観光ガイド
神津新地(こうづしんち):明治に入り、神津一帯の遊郭を集めて作られた官製の遊郭街。
表紙は主役の陽二郎と夕霧。
おまけの挿絵。青山さんと玉藻花魁。