ピーチマウンテンと呼ばれる山の麓。
豊かな自然に囲まれた町、桃園町に肉団子とあだ名される少女がおった。
その名の通りふくよかな体型の娘は幼き日から心無い苛めに遭おうとも挫ける事無く、前向きに成長していった。
心優しい娘は学童で同じ苛めに遭う子供達の助けとなり、一部では町の英雄と称える者もいた。
当然悪童達からはやっかみを買う事も少なくなかったが、娘には持ち前の体力と打たれ強さ、そして幼き日より武術の才があったそうな。
やがて小学校上級の頃には肉団子は苛めの対象ではなく、悪童達の脅威になっていった。
今日も学舎からの帰り道、数人の悪童達に絡まれる肉団子だったが、成長期によりでかくなった体格と武術による身のこなしで撃退していた。
百戦錬磨の肉団子は性格も男勝りで娘でありながら町のガキ大将の名を欲しいままにしていたが、そんな彼女には負けじと向かってくる同級生の男子がいた。
元々は肉団子を幼少より苦しめる悪童グループの一人だったが、彼女の武術による仕返しを受けてから彼もまた武術の腕を磨き、肉団子に勝負を挑んでいった。
肉団子少女と悪童少年は幾度と無くぶつかり合って来たが、常に肉団子少女に軍配が上がっていた。
何度肉団子の拳に倒されようとも悪童少年は諦めなかった。
子供ながらも彼の肉団子に対するライバル心は倒される度に燃え上がり、彼もあらゆる武術の特訓に励んだ。
肉団子へのリベンジを目指して武術の特訓に励んできた少年だったが、小学校卒業前にして肉団子は桃園町を旅立ってしまっていた。
因縁の相手に逃げられた悪童少年は、悔しさだけを残して中学三年間も武術の特訓に明け暮れていた。
いつか肉団子がこの町に戻って来る事を信じて。
それから三年、中学を卒業した彼はピーチマウンテンハイスクールに進学しつつも武術の鍛練を惜しまなかった。
悪童少年「勝ち逃げはゆるさんぞ肉団子!必ず見つけ出してやるからな。」
悪童少年の怒りと悔しさなど知る良しもなく、ピーチマウンテンハイスクールの門に現れる一人の女生徒。
女生徒「もう、誰にも肉団子なんて言わせない。」
ハイスクールの制服を纏って現れた肉団子。
三年の時を経て見違えた彼女が満を持して帰ってきた。
ピーチマウンテンハイスクールでの波乱の高校生活が始まろうとしていた。