最中

最高に平凡で大好きな青春!
私ははっきり言って主人公ユリを好きと大声では言えません。平凡で、平凡で、だからこそ近くて胸がしまってきゅうきゅう煩いくらいに軋む。痛い。痛い。あまりにリアルで平凡で。

でもユリ、大好きなんです。よく考えたらやっぱり凄く好き。共感なんて言ったら安っぽく聞こえちゃうかもしれないけれど、近い。近すぎる、ああ。私の弱い所はそのまま私の見たくない所だから、ユリの弱い所は私の見たくない所なんだなあと思います。私の中のユリが、つっぱっちゃっていて。

安定した文章を書く力がベースの、本当に平凡で甘くて痛くて、普遍的でなにものにも変えられなくて、きっと誰もが持っている記憶。それをとても悲しく皆が呼んでいるような心地。ただ優しかった音楽がとても素敵な速度で音色を変えていきます。ぐるぐる引き込まれて。どうしようもなかった青春と、誰も悪くなかったせつない別れと、目の前に広がる空があります。今聞こえる音には黒が混じる。

どうしてこうなったんだろうとずっと考えています。分からない。未熟すぎて直視もしたくない程の等身大の人物達に、性格の悪い私はやっぱり好きとは言えず、でも大好きなんです。