紅露国──艶やかに舞う後宮の女帝──

作者

遠い遠い時代。


紅露国に夢を運んできた一人の少女──


──大丈夫。もうすぐ幸せな季節がやって来ます──









『朝廷に陵氏あるとき国に平安あり     


      後宮に楊氏あるとき国に心戻り』








父は言いました。





楊家の行く末は私に託されているのだ、と。






母は言いました。





ごめんなさい、と。







良いのです。父様、母様。





私には何もありませんもの。







楊家のより一層の繁栄という役目、全ういたしましょう。







貴方様に会う日まで、私の心は役目という言葉しかありませんでした。







そんな私にを教えてくださったのは貴方様でした。





それが運命なのだとしても     



   それが偶然だったとしても







私はきっと貴方様をお慕いいたしました───












おしい程のに包まれる少女の

甘く、切なく、もどかしいの物語────