『朝廷に陵氏あるとき国に平安あり
後宮に楊氏あるとき国に心戻り』
父は言いました。
楊家の行く末は私に託されているのだ、と。
母は言いました。
ごめんなさい、と。
良いのです。父様、母様。
私には何もありませんもの。
楊家のより一層の繁栄という役目、全ういたしましょう。
貴方様に会う日まで、私の心は役目という言葉しかありませんでした。
そんな私に愛を教えてくださったのは貴方様でした。
それが運命なのだとしても
それが偶然だったとしても
私はきっと貴方様をお慕いいたしました───
狂おしい程の愛に包まれる少女の
甘く、切なく、もどかしい愛の物語────