樹杏 サチ

喩えかたが並みじゃないです
文章が整い読みやすい、構成が練られて後半にいけばいくほど気になる。
それに加えて、比喩表現が他ではなかなかお目にかかることのできない、優れもの。

たとえば冒頭の場面に出てくるこんな言葉。

"さよならさんかく"
"またきてしかく"

三角関係。そして恋する資格。
これだけではなく、本編にはありとあらゆる箇所に散りばめられた言い回しや比喩表現、どれを見ても感嘆ものです。

物語は、主人公ふたばの心離れから始まり、そしてその感情を無視して二人の男性が回りで騒ぎ事を荒立たせる。
ふたばの気持ちはすでにどちらにも傾いていないところから始まり、読めば読むほど、最後はどのような終わりになるのだろう、と気にさせてくれます。
推理小説なんかで、終わりが気になり先に少しだけ読んでしまおうか……そんな気持ちと同じものが、この作品に芽生えました。

本当に素敵な作品、ありがとうございました。