雨宿りしていけばいいよ――傷ついた女性・ミチルと不思議な男との共同生活。殴られることでしか、自分を見つけられなかった。私には、それ以外になにもないから。
「ねえ?」
頬に激痛が走る。
「ミチルは、おれのそばにいるしかないんだよ?」
そんなこと、わかっているよ。
ごめんね、エイジ。
「その目、なに? おれに文句でもあるの?」
違う。
わたしに価値なんてない。
エイジ……
「価値のないものどうし、むずかしく考えなくていいんじゃない?」
そこがわたしの、唯一の居場所――