ろな
本格派
この方の作品は、初めて拝読させていただきました。
改行も少なく、言い回しも文学的な印象で(特に、主人公の女性らしい口調が素敵でした)携帯小説よりも本が好きという方も好んで読めそうに思えます。
恋愛中心のお話ですが、主人公とお相手のお話だけにとどまらず、三科、菜摘、兄さん(夏目)とのお話も違和感なく組み込まれており、主人公とお相手とのこと以外は、詳しくは書かず、全ては語らず(特に、心情面)だったのに、それがかえって、読者に色々なことを想像させてくれます。
“何を書き、何を書かないか”、絶妙なバランス感覚だと思います。
何より、この内容をこのページ数に収めてしまったことがすごいです。さらりと読めるのに、薄くない、という感じでしょうか。
ただ、残念なのは、漢字変換と、接続語の使い方が怪しいことと、“章の変わり目は、視点の変わり目”だとわかりづらかったことです。
伸びしろもたくさんあると思いますが、これから、どう化けてくださるのか、楽しみな作家さんだと思います。