君がいなくなった日、涙なんて流れなかった。君がゆっくりとあの海に還った日、やっと僕は一筋だけの涙を流した。――きっと、忘れられないから、愛なんだ。
君は幸福だっただろうか。
あの日のことを、僕と過ごしたほんの少しの日々を、覚えているだろうか。
「ねぇ、それは違うよ」
忘れられないから、
愛なんだ。
君が海に沈んだ日、僕の心で誰かが泣いた。