朔良(さくら)は、貧しい武家の三男坊だった。新しい時代になじめなかった父は、奉公という名の口減らしをした。
新しい時代に移り変わろうとする頃。
女郎屋の立ち並ぶ遊郭の片隅に、陰間茶屋があった。
病を得て、ひっそりと消えてゆこうとする「さくら」にそっと手が差し伸べられる。