月森ゆら

深くて安定した作品
『希望的観測』読ませて頂きました。

一言で言えば、深くて安定感のある物語です。
わずか40ページの間にこれだけの内容を織り込めるなんて凄い。

ストーリーは幼い頃に父を亡くした主人公と、彼女を支えてくれた幼なじみとの20年にも渡る恋の物語。

淡々とした主人公の語りの中には、幼なじみである彼への思いが切々と詰まっています。

幼い頃の二人。
『友達であり、彼の彼女』という存在を交えた学生時代。

そして
すれ違い、歳を重ねた先には「恋愛対象」では無く、程よい距離感を築いてしまったような二人。

そして、その先の二人にあるものは……?

主人公の心理描写が緻密であり、彼女の中の、彼という存在の大きさと、自分の人生や結婚観への葛藤がリアルに伝わってきました。

後半の
彼女が見た夢の意味を考えれば考えるほど深くなります。

そして
あのお友達のエピソードも良かったです。

深くて濃い、本当に良い作品を読ませて頂いた感じです。

作者さま、素敵な作品をありがとうございます。

おすすめです!