アトム

繋がる運命。
昔話のような始まりに胸をときめかせつつ、じんわりと物語に入り込みました。


そうして最初、当たり前のように十夜の日常にいる幼なじみの夏菜とのほのぼのとした恋愛小説かなぁと読み進めていましたが……


本当に驚かされました。

物語として、いい意味での裏切り。
ですがそうであって欲しくない!とも願っていました…。


徐々に明かされていく十夜たちの悲しみに、夏菜という存在がどんどん浮き彫りになっていく。

とても胸が痛みます。私も鼻の奥がツンとなりました。


私はスピリチュアルな世界を信じています。
また二人が『約束』を果たすために出逢えたんだと、未来を信じられる暖かなラストは涙を誘います。
ですが、悲しい涙ではなく、幸せな涙です。


現世で後悔しないためにも、一つでも大切な気持ちを伝えたいなと思わせてくれました。

短編なのにまるで長編を読んだような内容の心に残るとても濃い作品です。

素敵な作品をありがとうございました*