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清閑な美しさと儚さ…桜の木の下で静かに流れる二人の時間―…。一人の時間を好むが故に誤解されがちな柚子。そんな彼女を理解し、想い合う様になった樹。奇跡だと思った。けれど、奇跡は永遠には続かない…。大人しい女の子とクラスの人気者の男の子。ある種定型になっているこの設定。そして決して奇抜でも珍しくも無いストーリー。それが引き立つのはこの作品が持つ静けさと美しさの所為だと思います。散りゆく桜の花びらの情景を用いて仲の良い二人の静かな別れを示唆するのは見事です。和歌を用いた二人の気持ちの表現は、作品に独特な空気感を持たせています。そして、心が少しずつ移り変わり行く恋人への切ない思い…。哀しみや切なさが、深々と心に迫ります。とても切ないお話なのに美しく、著者様の言葉選びの美しさ、丁寧さに魅了されて物語りに入り込んでしまいました。とても美しく儚い作品です。素晴らしいお話、ありがとうございました。