溺愛 仕立ての 果実の味は……

作者藤 慶

『羅刹の龍』それは羅刹高校最強の称号。『京極街』を追放されたイブは、自らを溺愛するワインレッドのシャツの男に出逢う。男の名は一条恭弥。彼は実は……



いつからだろう?



生きる事が苦痛に感じ始めたのは。




どうしてだろう?



今自分が、生きている事を、申し訳なく思ってしまうのは。




なぜだろう?



全部忘れてしまいたいのは。





夜、一人きりのベッドで目を閉じると、その答えが襲って来る。



思い出すんだ。



そうだ、私は……、私は『悪い奴』だったんだと。



無知で愚かだった自分の過去を引きずって、いつまでも償い切れない罪に怯えて、明日を怖がるんだ。



いつか、罰を受けるだろうと。












暗闇に浮かぶ悪夢から 逃げたかった。



忘れたかった。



息の詰まる様な静寂の夜、キョウは私の総てになった。



愛より 何より 愛おしい、私が蝕む夜の果実。






一条 恭弥











俺が全部 忘れさせてやる



お前は、そのまま目を閉じて朝まで 俺に溺れて眠れ