歪んだ月が愛しくて1【完】

作者壬武瑠子

月の光のベールを纏ったような銀髪に、鮮血のような深紅の瞳を宿す彼の正体は、血と孤独に飢えた白い鬼だった。






昔々、あるところに


人を喰らう鬼がおりました。




その残虐性と強靭さから


人々は恐怖と畏怖の念を抱くようになり


近付く者は誰もいませんでした。




その風貌は、正に異様で


透明に近い銀髪から覗く悪魔のような真紅の瞳に


人々は、いつしか鬼を


こう呼ぶようになりました。











―――“白夜叉”と。
















「……関係?別にないけど、アンタ達には」