「なんでも、地球の磁場が消えてしまうとか、太陽風がどうとか云っていたが、詳しいことは判らん。ただ、結論から云うと、地球は死んでしまうんだそうだ」
世界の終わりが来た。
「世界が滅ぶ」――つまりは、ぼくも、人類も全て死ぬということだ。
逃げる人々の濁流に逆らい、一人だけこちらへ、階段を上がってくる女の子がいる。
彼女はぼくに云った。
「お願いがあるの。一生のお願い」
確かに、今日死ぬ人間のお願いなら、正真正銘の“一生のお願い”に違いない。