はじめ、詩。

作者チェシャ

どんな事も、ふたりで乗り越えてきた。


どんなに辛い現実も


どんなに多くの死を見詰めても


―ただ、


隣に君が居た。


『♪……♪♪…♪…』

だから――


笑おう。


『うぁあああああ!!!!!』


『あがぁああ――ツ!!?』


『ひぃいいーー!!』


何処からか悲鳴のような…


断末魔のような――声が聞こえる。


『―…き、……き!!』


振り返る。


君が居る。


『…ハシヲ…』


駆け寄る青年に少女は…蕀を伸ばす。


!!?


『柚姫……?!』


『ハシヲ…』


蕀は青年を更に締め上げる。


どんどん伸びてきて…

腕、足、胴体、首にと蔓は巻き付けて行く。

『う、そ……だ…ろ?

柚姫…が…』


囚われるなんて。


その言葉を云う前に…

『ハシヲ……私の糧になって』


あ…


あ、あっ…


『…柚…姫…』


やがて―世界が壊れる音がした……。