栗栖ひよ子

たった20Pとは思えない!!
何回も読み返しました。

特に、最初の数ページの、空と風景の描写が素晴らしく、ひとつの絵画を見ているようで、

噛み締めながら何回も読みました。


綺麗で落ち着いた描写が続く中、いきなり出てくる喋るカラス(!!)にかなりびっくりし、

「これは、ただ綺麗なだけの物語じゃないな?」
と感じました。


次から次へと、主人公・紅音のもとに訪れる様々な鳥たち。

「君は何を伝えたい?」

その問いかけに、自分も紅音になったように、「伝えたいことって何だろう?」

と、真剣に考えながら読み進めてしまいました。


そして、とうとう明かされる真実。

ここぞ!!という所での三点リーダーの使い方は、本当にお見事。


悲しい物語のはずなのに、美しい夕焼け空のように、暖かく、優しい。

でも私たちの心には、ちょっぴり、寂しさを残して。


たった20Pとは思えないような充実した内容でした。

自分で作品を書いている人は、短編の勉強にもなると思います。

夕焼けの時間帯、ゆっくりとこの作品に浸ってみてはいかがでしょうか。