栗栖ひよ子
恋について深く考えさせられる
テーマに惹かれて読み始めました。
読みやすい、エッセイ風の文章が、まるで主人公本人が書いている実話のようなリアルさで、夢中になって一気に読んでしまいました。
この小説の主人公は男の子ですが、普段読んでいる恋愛小説以上に胸がキュンキュンしました。
主人公の光喜くんの、恋心もときめきも、女性と同じで、とても共感でき、余計に切なさでいっぱいになります。
ピュアな光喜くんはもちろん、希や永といった脇を固めるキャラクターたちも、とても魅力的に描かれています。
私が個人的に感情移入してしまったのは千沙なのですが、彼女の真っ直ぐな気持ち、そして、第二章の最後に光喜に告げた台詞には、瞼が熱くなりました。
物語の結末は、思いもよらない展開を迎えます。
ある意味ではハッピーエンドですが、どこか切なさの残る結末は、とても考えさせられました。
両親のことなど、その後の光喜くんの人生がとても気になり、ぜひ続編を読んでみたいと思いました。
考えさせられるテーマの素晴らしい作品をありがとうございました。