誤差丸
なかなかの正当派です。
ストーリーはしっかりしたもので、人間関係の機微の描写にぐいぐい引き込まれる物があります。テーマの一つである「戻れない過去」を、「美咲」、「中崎くん」という二つの切口から見事に描いたのは、この小説最大の魅力かもしれません。
ただ、(推敲途中なのかもしれませんが)後半に進むにつれ誤字脱字が増え、スタミナ切れ状態に見えます。
比喩表現も時々回りくどかったりするので、もう少し勉強なさった方がいいですね。比喩は非常に便利な表現法ですが、使い方を誤ると逆にあやふやな言い回しになってしまったり、酷い時には余計意味が伝わらなくなったりします。
あと、情景描写にこだわるあまり、ピンぼけの部分まで描き切ろうとしているように感じられます。視点はもう少しブレないようにして、絞った方がいいです。たまに、一人称の小説のはずなのに三人称のように思える描写もありました。
多少の粗はあります。ですが、ずぶの素人にはまず書けないであろう良作なことは確かです。これからもっと大きくなれると思うので、まだまだ努力なさって下さい。
上から物を言う様で失礼しました。