作品コメント
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- 桜圭
多重人格者たちの息をのむサスペンス
隔離性同一性障害を持つ主人公の広人は広美というもう一つの人格に耐えられず自殺願望を抱いていた。
そのとき同じく多重人格者であるキリトという人物と出逢いそこからこの物語は始まっていく。
主人公の視点がころころ変わるだけではない、相手もころころ変わるのだ。広人に広美、そして恋人である霧子はキリトになりニンギョウになり…。
しかし話はごっちゃになるどころか何の違和感も感じません。
むしろ私は舌を巻くほど感心した。色んな人格が登場しそれぞれの人格たちに勉強させられ、そして知識を貰いました。
第三者の冷静な舞香が読む者の見解を的確に発言してくれるため何処か現実離れもしておらず怖さも感じる小説です。
終盤の展開には耐えきれないものがある。
ことごとく読み手を裏切っていく凶悪で破滅的な人格の悪魔に振り回され…あなたはこの物語の中で何度涙を流しますか…?
(何か長々と感想文みたいになりすみません。是非!読んで貰いたい) - 小泉秋歩
多重人格者の恋
主人公・宏人は「宏美」という女性の人格を有する多重人格者。そのため社会に適応できず、自殺願望にとらわれている。
そんな宏美が、「キリト」という不思議な人物に出会う。
なんと、キリト自身も「霧子」という女性が持つ別人格なのだ。
身体は男で心は女の宏美。
身体は女で心は男のキリト。
不思議な運命で巡り合った彼ら「偽の人格」同士は、恋に落ちる。
そして彼らは、本体同士(宏人と霧子)をくっつけちゃえばいいじゃん、と思いつくのだが――
解離性同一性障害(いわゆる多重人格)をモチーフにした恋愛サスペンス。
「2つの人格による一人称小説」という複雑な構成ですが、口調や性格の違いなどで明確に区切られていて、違和感なくスムーズに読み進められます。
また、それぞれのキャラクターがイキイキとしています。特にキリトと宏美は魅力的。
また、堅物の委員長・氷室舞香という第三者の存在が、物語に奥行きを与えています。
後半には、思いもよらぬ深刻な事態に発展し、息詰まるサスペンスが展開されます。
過酷な過去を背負った多重人格者たちの恋と行く末を存分にお楽しみください!