時は鎌倉時代末期。
それはそれはお美しい二人の女御――松虫姫と鈴虫姫は、時の権力者である後鳥羽上皇の寵愛を一心に受け、なに不自由ない暮らしをしておりました。
しかし上皇の異常なまでの愛と、それを妬む他の女官たちの嫉妬と、現世の矛盾を日々愁いておられました。
そんな中お二方が出会ったのが、上皇による弾圧を受けながらも身を潜めながら、人々を諭そうと努力なさっている二人の僧――安楽上人、住蓮上人でございました。
仏の教えに魅入られたお二方は、上皇の居ぬ間に両上人に出家を申し出るのでございました。
※この物語は史実をもとにしたフィクションです。