――時は平安。
川の如く流れる時の中、一つの花が通り過ぎた…。
川は緩やかになだらかに流れている。
そこに流る花は、藤。
柔らかな紫色の花房は、ほろほろと花びらを散らしながら、
儚くも優しき香を静かに放っている…