三ノ花 平安の香

作者アキ



――時は平安。



川の如く流れる時の中、一つの花が通り過ぎた…。


川は緩やかになだらかに流れている。


そこに流る花は、藤。


柔らかな紫色の花房は、ほろほろと花びらを散らしながら、


儚くも優しき香を静かに放っている…