作品コメント
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- あき
記憶喪失×2 の面白さ
記憶喪失モノと言うと聞いたことある、とか読んだ事がある、という方は多いと思いますが、それが二人いたら……これはもう新しいです。
読者からすれば、それぞれの記憶の断片が物語が進むにつれて整合していく様は、段々と上がっていくテンポと相まってとても心地のいいものです。
私達現実の世界と似ていながらも違う世界、そして専門的な医学用語が物語を更に深いものにしてくれます。
医学用語が分からない! そんな人でも大丈夫です。分からなくても面白いんですから。そして分かればもっと面白い! はずです! - 誤差丸
少女と青年を結ぶ「謎」
記憶を失った少女と青年がどこに向かってゆくのか、向かわざるを得ないのか。
見えないリンクがどこで繋がるのか。
そんな物語の「謎」に惹かれ、暇を見つけては少しずつ読みました。
資料を上手く活用した専門的な場面もあり、なかなか楽しめます。
肝心な描写――特に人物描写や風景描写、人の動きの機微など、小説に不可欠な要素がやや欠けているのが少々残念でした。個性的なキャラクターが出てくるだけに。
描写を増やし、もう少し「絵」が浮かぶ文章になれば、今の何倍も楽しめます。
ちなみにこれは、あくまで「小説として」の評価です。
「脚本」や「漫画原作」のように捉えると、評価は変わってきます。
何と言いますか、もしこういうアニメ作品があれば観てみたいですね。 - 小泉秋歩
記憶が嘘をつく
そう遠くない未来の日本。
国民ひとりひとりの情報は、戸籍から病歴に至るまで全て「登録所」で管理され、IDがなければ社会生活は営めない状況。
そして、ほとんどの人間は免疫系の病気に罹患しており、重度のアレルギー症状(アナフィラキシー)で死に至る人間も多い――
ある日、記憶障害の少女・桐生は、記憶喪失の青年と出会う。
2人は、なぜ自分達が共に行動しようとするのか、その理由も分からぬまま、記憶を取り戻すために動き出す。
その中で少しずつ取り戻す恐ろしい記憶。
何かを隠しているらしい桐生の両親。
そして、「女神」の夢――
物語の序盤、2人が持っている記憶はとても曖昧で、何が真実で、何が嘘なのかすら分かりません。
まるで闇の中を手探りで歩くような心細い感じで、読者を惑わせます。
ただ、何かの陰謀が背後でうごめいている感じが常につきまとうため、いったん読み始めたらなかなか中断できません。
2人が最後に直面する真実はあまりにも苛酷で、そして美しく――
たいへん良質のミステリーです。ぜひ一度お読みください。 - らくだ
夢の中
夢の中のような不思議な雰囲気があります。
主人公桐生とある男が、失った記憶を探すという物語なんですが、その内容にふさわしい雰囲気です。
それに、難しい医学関連の言葉が出てきますが、作者さんはきちんと調べているらしく、真実味があり、感心します。
大変出来がいい小説ですが、将来性を見込んで☆4つにしときます。