2023年。大聖ユイナは、雪国であるA県五條河村の五條河高校で教師を務めています。
この地域は土着の神であるムガエカミを根強く信仰しており、ユイナ含めて地元の人間は違和感なく受け入れていました。
五條河高校の生徒は倉刈ホズミたったひとり。
ところがホズミが三年生になった四月に東京から転校生がやってきたのです。
その転校生とは、大金持ちで超ハイスペ男性高校生の天城セイ。
本来であればこんなところに来るハズもないような彼がどうしてここに……。しかも性格はバッチバチのオレ様系。
今までほんわかのびのびと学校生活を営んできたユイナとホズミでしたが、この日を境に彼に振り回される毎日が始まりました。
ユイナやホズミは異色の転校生と仲良くなろうと一生懸命頑張ります。するとセイの方も徐々に心をひらいていくことに。
その努力の甲斐もあって三人は仲良く学校生活が送れるようになっていきました。
一学期の後半、夏が近づいてくるとイベントは目白押しです。三人で大自然のなかで課外活動を楽しんだり、ユイナの家に三人でお泊まりをして雑魚寝をしたり……。
もちろん、村の神様であるムガエカミ関連の宗教行事にも一緒に参加します。部外者であるセイでしたが、特に疑問を抱くことなくそういった風習も受け入れていきました。
そして、そんな楽しい日常に転機が訪れます。夏休み前のある夜、ユイナは偶然、驚くような場面を目撃してしまったのです。
ホズミに向かってまるで忠実な従者であるかのように跪くセイの姿。そして、お互いの関係性を確認し合うような隠秘な儀式の場面……。
一部始終を目撃したあと、ユイナは教室から逃げ出します。恐らくふたりには見つかっていないと思われます。
次の日、いつもと変わらぬ様子で登校するふたり。しかし、拭い去ることの出来ない強烈な違和感……。
このときからユイナの日常は崩壊し始めました。