ミルナリ王国の女王だった母親の死を受け、跡を継いで即位することになった十六歳のマリアラーヴィ。
即位式と同時に、かねてから婚約中だったディセンタ王国の第三王子オーウェンと結婚式もとり行われるはずだったが、オーウェンが式に来ない。
その晩、半日遅れでオーウェンが城にやってきた。
親同士が決めた結婚ゆえ、ふたりは初対面。しかも、遅刻理由は「国境の峠に鹿がいたから」という他愛のないもので、飄々としたオーウェンの態度も気に入らず、マリアラーヴィは怒りを覚える。
女王であるマリアラーヴィと結婚すれば、オーウェンは王配(女王の配偶者)となる。
オーウェンに王配が担う仕事をたくさん押し付け、自国に帰るよう仕向けるマリアラーヴィだが、オーウェンは意欲をもってつぎつぎと仕事をこなしていく。
王家の庶流にあたるディア家のナタリリシュが王家が管理する魔石を手に入れ、権力を握ろうと画策する。
女王であるマリアラーヴィは気高く、庶流のナタリリシュは相手にされない。そこで、ナタリリシュは王配になるであろうオーウェンに目をつけ、近く。
一方、母親のように強く、周囲から尊敬される女王にならねばという重圧がマリアラーヴィにのしかかる。
それを見たオーウェンは、なぜ、マリアラーヴィに冷たくされても、王配の仕事に前向きに取り組むのか、結婚式に遅れた本当の理由はなにか、自身の生い立ちを踏まえつつ、マリアラーヴィに話をする。
頑張り屋の女王陛下と知略優れた王配殿下が織りなす、初々しく爽やかな恋物語