希実には生まれながらに前世の記憶があった。
それは「いつか家族になろう」と好きな人と約束するというものだった。
しかし、その約束をした好きな人は現世の兄の睦であり、
兄への思慕というあってはならない想いを封印することを決める希実。
大人になり、助産師という念願の仕事に就いた希実は充実した
日々を送っていたが、封印した睦への想いに、人知れず苦しんでいた。
そんな折、睦の実の父親の居場所が分かったことをきっかけに、
希実は睦の出生の真実を聞かされる。
睦は希実の母親の亡くなった姉の子供で、一歳の頃に希実の両親が養子に迎えたのだった。
睦とは従兄妹にあたることを知り、漸くこれまでの兄への思慕という
重たい事実から解放される希実。
その後、睦はある日希実の前世の記憶と同じ夢を見る。
ただの夢とは思えず戸惑う睦は、次第に希実の自分への想いに気付いていく。
妹としてしか考えられないと思っていたが、希実の強い想いに接し、
睦の気持ちに変化が訪れる。
お互いになくてはならない存在だと分かる睦と希実。
一緒に生きていこうと誓い、前世の想いを遂げる二人だった。