中学二年生の及川柚木は部活も勉強も上手くいかず、ただ時の流れに身を任せながら怠惰な生活を送っていた。
夏休み中の補習の後、いつものようにここから少し離れた市民プールへ向かう。
そこにはプールサイドのパラソルの下で本を読む女の人と白い大きな犬がいた。
どうしても気になることがあり、話しかけてみるがその人はこんな暑い中本を読むのに夢中で反応はなかった。代わりに犬が答えた。
犬がテーブルの上に置かれていたしおりをプールの中へ落とす。それを覗きにいった柚木の背中を誰かが押して、柚木はプールの中へ落ちて行った。
息を吸おうと顔を出すとそこは海の中だった。
そこで海に捨てられた女の子と出会ったことでストーリーが動き出す。
この世界から出るには彼女を救うこと――でもそれは彼女の終わりも意味していた。
動かないことはその場で停滞しているのではなく、後退をしている。時間の流れは速い。立ち止まっている人を容赦なく置いていく。青春時代なんてあっという間だ。