ただ、俟っていた。何もしないことを、そう言い訳して。
空谷に佇むくちなしは跫音を俟つ
五謳梅さゆりは迷える後輩を導くのが趣味な、困った高校三年生。今日も今日とて親戚の菊前曇果と共に迷える子羊を餌づけする。今回のターゲットは引っ込み思案な一年、菖蒲園支子。世間知らずにもほどがある、そんな姿におやおや、気がついたらさゆりが振り回されていないかい。そんなおバカでキュートなところがたまらなく愛おしいんだけどね。
この出会いは偶然なんかじゃない、僕が仕組んだ必然。キミを救えるのは、この僕、五謳梅さゆりだけなのだから。