目下家出中の僕の目の前に現れたのは、『自称』吸血鬼の女の子。吸血鬼は僕を幾度となく肯定する。家出のキッカケとなった事象すら、彼女は僕を否定しない。だけど、ちょっと待って。――そんなの、優しさでもなんでもない、ただの無関心。傷つくことに向かい合うための、少年の助走はここから始まったのかもしれない。
「美味しい血が飲みたいの」
そう言って、真っ黒な吸血鬼は僕の全てを肯定していく。