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イト

日々を編む

師走、計画

12月になったのも束の間、来年っていうのが襲いかかってくるって気がする訳でもなくて、日々をただこなしている。ここ2.3週間は気にしてしまうことが増えて、なかなか上手く行かない日々が続いた。でももしは何も考えずに済んだから案外よくやったと思っている。やっぱり逃げるんじゃなくて、向き合ってそれに勝った時の自分が1番の誇りであり、自信になることがよく分かった。この病気になってしか分からないことも沢山ある気がする。
大学の友達のお家にも初めてお邪魔した。綺麗に暮らしていて、私がひとつ年上ということが恥ずかしく思えた。私何となく抜けているところがあるし、大事なことに気づけない瞬間が多いし、何となく人と違う気がしている。みんなこんなぐらいの感覚は当たり前なのかなとも思うが、なんか違う気もする。でもまあ、私は私の世界の実験台であって、誰にも分からないし、誰にも分からせたくない気もする。まあいいや。
街がクリスマスの煌めきをまとって、まとわされて、何となく無理やりクリスマスを実感した。電車には水族館に向かうカップルが沢山いて、手繋いでいたりする。別にクリスマスに出かけなくてもいいじゃんもっと日常を大切に...なんて思ってる自分のこの心はクソッタレだなと思う。買ってもらったお気に入りの黒いコートと、赤いマフラーをまとって颯爽と歩く、ふりをする。向こう一点を見つめてまるで目的地がもう目の前に見えてるかのように黙々と歩く。都会に出ると空を見上げる余裕が無い。これ本当だった。常に人がやってくるから自分との対話が出来ない、そりゃ忙しなく生きるしかなくなってしまうよなと感じた。幸い私にはその余裕があるし、余裕を使いこなして日々を乗り越えることができている。田舎者でよかったと唯一思うこと。
一点を見つめて歩く私はレコード屋へと向かっている。ぼーっと時間が経つのを待っている客引きをよそ目に狭い暗い階段を上がる。この瞬間がたまらなく興奮する。さっきまで飽きるほどあった街の灯りが全て見えなくなって、静寂が訪れる。さらに進むと、少しずつ音楽が聞こえてくる。案外お客さんがいて、クリスマスに一喜一憂している自分が恥ずかしく思えた。お気に入りの歌手のCDを購入した。割引のチケットお財布に入れたつもりだったのに入ってなかった。また新しいチケットをもらった、また行きますまってて。
SNSをみると友達はいかにも大学生といったような感じで、吐き気がする。男女でクリスマスパーティー、恋人とイルミネーション、ブランド物のプレゼント、肌を寄せた屈託のない笑顔、それら全てが自分の感情の波を揺さぶっているのが何となく伝わる。こういうのを受け入れられないのは頭のどこかで彼らのことを妬んだり僻んだりしてるからなんだろうな、情けないな。また高校の頃好きだった子のことを思い出す。ホームに入ってくる電車をぼーっと見ていたら目が合った、信号待ちをしている後ろ姿、気がつくとずっと追いかけていた気がする。彼が進めてくれた映画は本当に私の好みの映画だった。全くと言っていいほど深く話したことがないのに、こんなにも好みを分かってくれているような彼のことが余計に気になった。いつかまた会ったら、映画を見た感想とありがとうを伝えたい。伝えるまでは死にたくない。死ねない。そしていつか一緒に映画を見れたらいいなと心のどこかで思っている自分がここにおります。今日もおります。忘れてくれるな自分。
大学のレポートだと書くのに何時間もかかるのに、自分の気持ちをここに綴るのは一瞬で悔しい。



訥々と私の言葉で、訥々と師走の計画を
黙々と私の頭で、黙々と今年を回顧
燦々たる私の全てで、燦々と降り注ぐ日々を

鳥のさえずりが聞こえる気がする
もうすぐ朝が来る
瞼を閉じて 秒針をきく


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