愚図

竜胆


うっかりする、ということは便利なことだ。
なんとなくだって正当な理由でしょう?
いつだって飛び出して行けるように、と思っている時点でそれは自由ではない。
大人だからだ。

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私の無鉄砲さと無計画さと非合理的なところは好みに合わない、と言ったあのひとの、じゃあ一体どこに好む要素があったんだろうか。
私の阿呆面が好きだと言っていた。
私はあれからずっと阿呆面であのひとを待っている。


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自分がこんなにみっともない状態になると思わなかった、と言うと、こんなに人を好きになるとは思っていなかったよと返される。
君の隣は幸福で満たされてうっかり安心してしまいそうになる。
安心してはいけないの?
だって、君がいなくちゃ生きていけなくなってしまったら困る。
それの何がいけないのかと問われて黙り込む。
私はまた悲しくなる。





土曜日と日曜日と月曜日をぐずぐず過ごして、なんとなく超える火曜日を終えて水曜日。
君がいる週末も、君がいない週末もこの世の終わりみたいだ。
夏が終わって口数が減る。
いつだって夏だ、と思うのに、いつだって繰り返す。
持続性はどこにもないのかな。
ずっと君を好きでいたい。
その為には失わないといけない。


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世界が一変したときのきらめき。
生きる理由なんて必要なくなって、君に会える時間まで貝になるだけ。
悲しがることに意味なんかなくなって、ひとりきりでいられる。
次はいつ会える?って聞く前に聞かれることの喜びと幸福。
君と眠る夜のための日々。

引き出しだとか底だとかどうでも良くなって、君の身体にしがみつく。


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君に輪切りにされたい
串ざしにされたい
家畜みたいに扱われたい
罵倒されて蹴られたい
冷たい瞳で見られたい
君に

君に
君に好かれたい
どれほど
ミジメでも
羽がもげても




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