Gleipnir.
全くその為に作られた、存在しなくなったものたち。
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久しぶりだからね、といって私を見下ろす。
一週間と四日ぶりのセックスは待ち望んでいた快感にはならなかった。
私の気持ち良いところを知っているこのひとはきちんとまるで本当に大切にしているみたいに、私の望む乱暴さで抱いてくれるのに。
慈しみや安堵は確かに存在して、このひとの柔らかさや色の白さや暖かさをもう少しだけと確かに思う。
それでも揺さぶられながらつかまる身体の奥まで満たされない気持ちになるのはどうしてだろうか。
自分の意思に反して出ていく酸素と惚けた声にうんざりする。
私は私が大嫌いだ。
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小さくなって消えていなくなるためのはじめの一歩、とか思いながら震える手を反対の手で押さえ込む。
私の不健康をあのひとは詰ったけれど、あのひとだって大概だ、と思う。
もうとっくに私に喧しくなくなってしまったあのひとの、抱き締めるだけで胸が苦しくなって泣いてしまうあの背中と肩口を馬鹿みたいに愛している。
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