愚図

quotidiana.


繰り返し繰り返し、と歌う声。
溶けてなくなるみたいなセックスをしたあと、それぞれの存在に戻る。
このまま眠ろうよと言う君の甘い誘惑を蹴ってさあ、と猛々しく立ち上がる。
一層泣き出しそうな気持ちで。


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無防備な私を責め立てる細い指先に歓喜して、ぐしゃぐしゃに泣いてしまいながら喘ぐ。
私の泣き声にいつもより少し興奮している君の顔を見たくて見たくて、だけどぐしゃぐしゃに泣いてしまう私は自分を隠すことに必死なので見られない。
まるで本当に大切にしているみたいな優しいキスと握る指先の頑丈さがとてもアンバランスで、こんなふうに求め合うことが一体どうして夢だなんて思えるだろうか、と思った。
私とあのひとが最も野蛮で暴力的で、世界中で一番愛し合っていたあの頃、こんなことになるだなんてほんのひと匙も考えていなかったのに。
君の心を抉る私のひと言ひと言を、きっと君は忘れずに連れて行くのだ。
それでも人生が終わる瞬間まで当然一緒にいようと、私の髪を梳き顔中を愛でいっぱいにしながら。

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雨の音を聞きながら1月23日の1:23。
日付はとっくに変わって1月24日になってしまっていること、私は気づかないふりをする。
もうとっくにあのひとを失ってしまったとしても、そんなものは全く有り得ないと思うように。

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スイッチが切れてしまう前の五分間。
ここにはない大切なもの達と輝き続ける君の愛を、どうか失わずに済むように抱き締める。


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