愚図

揺蕩する


もしそうなったら自分はどんな顔するのかな、という君の曖昧さ。
もうしない、と決意する横顔に残念がる。がる。
遅れてきた絶望に少しだけがっかりして、頭を撫でる手のひらを引き寄せる。
私の口に指を突っ込んで喘ぐ私を見つめる君の嬉しそうな顔を、それでも私は見ることが出来ない。


ーーーーー

君に跨ってするとろとろのキスが大好きでひとつずつボタンを外して嗅ぐお腹の匂いが大好きで君の膝に寝転んで見上げる顔が大好きで、私の膝に寝転ぶ君の固い髪を撫でるのが大好きだってこと、君が全部知っているって知っていること。
君が少し近付いてゼロ距離で見つめる顔を、見たくて見たくて堪らなくって恥ずかしくって見られなくて、呼吸が止まる。
したがったのはセックスだけじゃない。
君と抱き合って愛し合うことだ。


ーーーーー

写真や動画を撮られることなんて大嫌いだし一層嫌悪していることで、許せないワースト首位なのだということを伝える気にもならずに許しているのは、一体どういう事なのか私にも分からないのだ。
たったそれだけのことで私は君を特別にしてしまうのだから、本当に始末に負えない。



コメント

ログインするとコメントが投稿できます

まだコメントがありません